岐阜提灯の技

張

繊細な和紙で美しい曲面を張る 張りの技法

提灯の張り型に螺旋状に巻かれた竹骨(ヒゴ)に、むらなく糊を付け、ヒゴに紙を乗せハケでなでて張ります。糊の量やなでる強さは提灯の見栄えや強度を左右するため、張師の熟練の技が求められます。1間を張り終えたのち余分な紙は、紙同士の継ぎ目が目立たないよう、狭い間隔で切り落とします。乾燥後は張型を抜き取り、ヘラを使って丁寧に折り目を付けて畳みます。

絵

継承されてきた絵柄を精巧に描く 絵付けの技法

張師が無地で張り上げた火袋に絵師が下描きをせず同じ絵柄を描き揃える、古くから継承された技法です。ヒゴのある凸凹した曲面に活きた線を走らせ、絵柄の大きさや位置、色合い、絵の具の濃淡などを同じように揃えて100帳、200帳、500帳と描きます。平面ではない火袋に同じ絵柄を素早く描くことは絵師の描写力・熟練度が求められます。

摺

いくつもの工程を経て絵柄を摺り込む 摺り込みの技法

絵師が描いた原画の着色部分を、摺込師が色ごとに伊勢型紙で型を取り、版画の要領で和紙に着色します。和紙にコシと艶を出し顔料のにじみを防止する「ドウサ引き」を経て、羊毛のボタンバケと型紙を用いて、灯をともしてなお美しくなるように立体感を持って摺り込みを行います。型紙1枚分の摺り込みを「1手」と呼び、手数の多い絵柄では1枚の絵を作るために100手を重ねます。

盛

菊の花が咲くように花びらを盛り上げる 盛り上げの技法

木地面の装飾として施される盛り上げは、白い胡粉を何重にも描き重ねて立体感を出す技法です。様式化された菊のバリエーションは多く、時間をかけて花びらを一枚一枚描きます。
絵柄には花びらを屈折させて描く「乱れ菊」、全てが直線で放射状に描く「丸花」、菊を横から見た「半花」などの様式があり、花びらを二重から五重まで描き重ねて仕上げます。